はてなブックマーク - asahi.com:「読み聞かせ」に細かい注文 著作権めぐり作家ら?-?暮らし
元ネタというかガイドラインはこっち「http://www.jbpa.or.jp/ohanasikai-tebiki.htm」。朝日が言うほどは細かい注文ではない。
が、表現の仕方が悪いのは事実。
読み聞かせ会の商業的価値
資料は「著作権者の権利の保護」に偏りすぎていて、「読み聞かせ」がもつ文化的な意味、商業的な意味を過小評価している。
文化的な意味は、言うまでもないと思うので商業的な意味について書いてみる。
まず、「読み聞かせ会」は確実に絵本市場の拡大に貢献しているということだ。
○○協会のお偉方のように金銭的にも文化的にも恵まれた家庭に育った方には想像もできないだろうけど、プラレールがあるのに絵本がほとんどない家庭というのは結構多いと思う。
そういう家庭でも、読み聞かせ会で子供が「この絵本面白かったから、うちでも読んで」といわれれば、結構買ってしまうのではないだろうか*1。さらに、これによって子供や両親に読書の習慣がつくかもしれない。
子供のいる方はわかると思うが、3歳くらいまでは基本的に絵本は消耗品だ。気に入れば同じ本を何度も買ったり、子供に一人ずつ上げたりする。
子供が絵本に触れる機会である、「読み聞かせ会」がどれほどの商業的な価値があるか、出版社や著作権者の方々は良く考えたほうがいいと思う。
みんなが幸せになるには
子供が「読み聞かせ会」を楽しめて、絵本作家の方々も得するためには、こんな権利がちがちの資料じゃだめだ。
この資料を作った児童書四者懇談会(日本児童出版美術家連盟,日本児童文学者協会,日本児童文芸家協会,日本書籍出版協会児童書部会)の人たちは、まずJPIC 一般財団法人 出版文化産業振興財団あたりと連携して、正しい読み聞かせ会のやり方について、禁止事項を列挙するのではなく、より楽しく、よりやりやすい方法を提案する形でどんどん提供するべきだ。
さらに、読み聞かせ会の実態を把握する方法も、あんな役所みたいな届出用紙はよくない。
読み聞かせ会を事前に届けたグループには読み聞かせ用の本を提供するとか、感想をある程度継続して送ってきてくれるグループに対して図書券などを送るなど、お互いに利のある形にしたほうがいい*2。
1. 絵本・紙芝居の拡大使用(弱視者用も同じ)
2.ペープサート 3.紙芝居
4.さわる絵本 5.布の絵本
6.エプロンシアター
7.パネルシアター
8.パワーポイント 9.OHP
10.その他
いかなる形態においても絵本の絵や文章を変形して使用する場合
これだってそう。「これらは全て原本に改変を加えて制作(二次的使用)するもので、著作人格権(同一性保持権、名誉・声望を害されない等)に抵触。」っていうのはそのとおりなんだけど、あまりに冷たい。
いくつかの例外(視覚障害者向け、弱視者向けなど)については、事後の届出でOKとするとか、あらかじめ貸し出し用の物を用意するとか、製作実費を児童書四者懇談会で負担した上で、児童書四者懇談会から貸与する形にする(利用後は、懇談会で保管して別の団体に貸与する。保管が大変かな)とか、「文化を担うもの」としてやるべきことはいろいろあるんじゃないだろうか。
繰り返すが、「読み聞かせ」はプロモーションとして結構有効だと思う。だから、上記のような権利者側の負担は、「損して得とれ」の範囲に十分収まると思うがどうだろう。
どうしても不安なら、読み聞かせの届けをしてくれた団体に「注文用紙」を送りつけてやればOK。多少の便宜を図ってくれればもっといいけど*3出版界はそういうのやりにくそうだからなぁ。