自分につっこむ「実刑。 - 練習帳」
蛇足を承知で。薄いネタを無限に増殖するLifeHacksじゃ無いよ。
えーーっと、俺はホリエモンマンセーと言うつもりは全然なくて、やっちゃったことが限度を超えていたのは間違いないと思っている。
そこは誤解のなきよう。
なんとなく、嫌な感じがする。
「ふてぶてしい」から量刑が重くなるっていうのは、気持ちは分かるけどシステムとしてどうよ。
感情表現に乏しい人は普通の人以上にリスクを負っているわけか。
本当にやったのかもしれないし、やっていないかもしれない。判決文を全部読んだわけじゃないのでやったことについての決定的な証拠があるのかないのか良く分からないが、すくなくともホリエモンは最後まで無罪を主張していたということはホリエモンを黙らせるだけの証拠は無かったんだろう。
そういう状況だから最後まで「無罪だ!!」と堂々と主張したわけなんだろうが、そういう状況で「反省が無い」とかいわれても、本人的にはどうしようもなかろう。
裁判官的には十分だったのかもしれないが、こんなやり方じゃあホリエモンが刑務所に入っても反省のしようが無いんじゃないかなぁ。
「俺にもっと人望があれば」とか「政界・法曹界への人脈作りが足りなかった」とかそんな反省しかでてこないぜ。
ここでたとえ話を出すとろくなことにはならないだろうが、あえてこんなたとえを考えてみた。
混んだ電車の中で、本人あまり意識せず周囲の人間の感情を害していた(たとえば、携帯電話でこんな話をしていたとか、体臭がきつかったとか、ポスターがいっぱい入ったアニメ絵の紙袋をたくさん足元においてアニソンをがんがん聞いていたとか)とする。
そういう状況で、絶対に何もしていないのに唐突に「この人痴漢です」とつるし上げられたら、たぶん周囲はろくな証言をしてくれないんじゃないかな。
自信満々に「俺はやっていない」などと主張すればするほど、窮地に追い込まれていきそうな気がする。
そういうあやうさを今回のニュースに感じてしまったというわけ。
日興コーディアル証券の件とか三洋電機とかカネボウとかそういう話でも、同じように社長が刑務所に入っているなら「ああそういうもんなんだな」と納得するんだが。
「法令にのっとって処理している」としか言わない某大臣は特にお咎め無しで、ホリエモンに対しては「法律に違反していなければなにやってもいいのか*2」なんて声高に批判したりするのをみていると、なさけないような恥ずかしいような気持ちになる。
結局、司法が守るのは「善良なる民」ではなく「この瞬間の社会システム」であり「その社会システムで利益を得ている者」だということだ。
こんなことやっといて、「善良なる民」のモラル低下を嘆くなんて、支配層は大変立派なモラルをお持ちのようで。
追記
法律的には、妥当といえるらしい。
isologue - by 磯崎哲也事務所 - 堀江氏判決について考える
東京地裁、堀江被告人に懲役2年6月の実刑判決宣告 - 弁護士 落合洋司 (東京弁護士会) の 「日々是好日」が、それでもやはり「悪い奴には報いがある」などと言い放つ気分にはならない俺は、おこちゃまなんだろうな。
こっちは前半とはちょっと違う話で、法の運用がなんとなく不透明だということ。さらにマスコミの報道の仕方もちょっと嫌な感じ。
いままでずっと、「記憶にございません」「部下が勝手にやった」「法律に定めるところに従って適切に処理してきた」でお咎め無しじゃなかった?
こういう判決が出た以上、次からはたとえ具体的な指示が出されていなくても起訴されれば全部実刑になるはずだよな。
とすると、なんだかよく分からない2000万円の某大臣とか、とんでもない粉飾をやらかしたらしい某証券とかが、全然起訴されそうにない理由がちょっと分かる気がする。
「判例の整合性」を考えたらそれしかないもんな。
つましくつましく、息を殺して生きていくしかないか。
もういっこ。
「http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20060125.html」みたいに、正論ぶち上げてホリエモンを極悪人に仕立て上げているのをちらちら見かける。
「汗水たらして働いている人に失礼だ」みたいな話は、こういう言説に良く見られる慣用句だ。
かっこ悪いと思う。もっといえば「私はものの善悪を自分で判断できません」といっているようなものだとさえ思う。
もっともそんな風に思うのは、俺がライブドアの株に生活費をかけていなかったからかも知れないし、いつもの「人権派社会不適合者」的発作のせいかもしれないけど。