「IT部門が頼りなくなった」って昔は頼れたとでも?
昨日の続き。一応言っておくと、俺は「社内IT部門担当者」なので、以下は多分に自己弁護が含まれているような気もするがとりあえず本人は気にしない。
もうひとつ。「昔はよかった」式の文章を見ると、自動的に反証してしまうのは仕様。
システム部門Q&A(37):IT部門が頼りなくなった原因はなんだ? (1/3) - ITmedia エンタープライズ
俺がこの文章を読んで最初に感じたのは、「社内IT部門もようやくユーザから期待されるようになったんだなぁ」という、文章の趣旨とは正反対のことだった。
そもそも、IT部門って、「優秀な技術者集団」と社内で評価されていたことなんてほとんどなかったようにも俺は思う。
うちの会社もそうだが、専従の社内システム担当がいる会社は、まだそれほど多くはない。大部分は兼務下手したら正式な業務命令さえ受けていない人間が片手間にやっているに過ぎない。
だから、専門知識を持っている人間を新卒や中途で採用しているケースはまれで、ほとんどの担当者が「パソコンが得意そうだから」「パソコンが好きみたいだから」といった、実にいい加減な理由で選任されている。
つまり、そもそもの生い立ちが「素人やセミプロ」レベルでしかないのだ。
さらに、それぞれの会社の中でITがメインストリームに絡んでくるようになったのがつい最近になってからと言う背景もある。
この記事の中で、ベンダ側の「従来は、IT部門がユーザーを説得してニーズを取りまとめられた」「以前はIT部門が社内を説得してそれなりの妥協案を提示できた」と言う意見が取り上げられているが、本気でこんなことを思っているんだろうか。
昔のシステムなんて、ハードの性能も低かったしソフトウェアの制限もいろいろあって、「ユーザのニーズ」が入り込む余地なんでほとんどなかった。どうしても困っている部分だけをシステム化したり、出来合いのシステムに無理やりニーズをはめ込んだりしていたはず。
ユーザ側も、コンピュータに慣れていないこともあって適当なところであきらめていたように思う。
だから、昔のIT部門は、ユーザからの要望に
- 「できるできないで言えば、できると言えますが、予算的、時間的、性能的に無理です」
- 「今回のシステムではそういう使い方は想定していません。システムに沿った利用をお願いします」
- 「現在のシステムにはその機能はありません」
と答えるだけですんでいた、と言うだけで、別に技術に精通し交渉力があったわけじゃない。
と言うわけで、「昔のIT部門が優秀だった」って言うのは完全な幻想、ベンダーもろともユーザからは大して期待されていなかったと言うのが実態なわけで、@ITのこのコラムはそもそもの前提が間違っていることになる。
つづく・・・。