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これからは写真中心で行きたい

いじめをなくす制度は、きっといじめっ子に活用される

「何をしても無駄」というつもりは全く無いし、それで多くが救われるかもしれないのだが、「いじめをなくす制度」だけで「いじめ根絶」は無理だと思う。

id:muffdiving氏も上のエントリ中でリンクされている各記事も、なかなか考えて書かれていると思う。

が、おそらくこれら諸制度はむしろいじめに使われてしまうだろう。

たとえば、「傍観者」に対しての裁き。

「いじめている連中」は、「いじめられている」張本人を「別のいじめ*1」の「傍観者」であると主張するだろう。
いじめられっ子は自分をいじめている相手に対して「いじめるな」といえるはずが無いので、「外見上」はいじめっ子の主張が通ってしまうのではないだろうか。

たとえば、「自殺してしまった子供のドキュメンタリーとか短編映画をみせる」。

自分たちの行為が「いじめ」であると認識していて、わずかでも想像力がある子供には効果があるかもしれない。が、次のような子供たちもいることも考えておくべきだろう。

  • 映画から「ばれないいじめ方」「自殺されないいじめ方」を学んでしまう子供(早熟なあまり大人顔負けの判断力を持つ子供はいる)
  • 自分たちの行為が「いじめ」であるとは微塵も疑っていない子供(「しつけ」で子供を殺す虐待親と同じ思考。先生が加担している場合は特にこの傾向が強い)

たとえば、教員に対する懲罰

これは、id:muffdiving氏も

 今の安倍政権の「教育再生会議」の面子にそれやらせるのは違った意味で危険だしなあ。

と心配している通り、いじめられっ子の救済とは何の関係も無い用途に使われる危険性が高すぎるだけでなく、昨今の「医療過誤訴訟vs医者不足」問題を教育現場に再現してしまう可能性がある

つまり

  • 少しでも素行に不安がある子供(乱暴な遊びが好き、気が弱くて泣いてばかりいるといった程度)を学校が受け入れない or 「認知行動療法」などを強制されてしまう
  • 教師が過剰に反応するあまり、子供の精神の発達に必要な刺激が失われる(徒競走で手をつないでゴールするような事例がもっと先鋭化する)
  • 少しの失敗でも強烈に罰せられるため、教師が育たない。成り手が無くなる。

そもそもいじめって

人の考えにけちをつけて喜ぶ趣味は俺にはない。が、俺の考えを書く前にいじめの定義についてリンクを提供しておく。

うーーん。WikiPedia以外はいじめられたことの無い人が書いているっぽいなぁ。特に一番下のは酷い。この人いじめっ子か間違った形で克服しちゃったいじめられっ子だな。

WikiPediaはなかなかすごい。いじめられている人にとってはとても参考になるだろう。

で、どうするか

「いじめ」をなくすのは、何をどうしたってできっこない。

  • 「絶対的優位」より「相対的優位」に立つ方が楽。だから他人の足を引っ張ったり、必要以上に馬鹿にしたり、わざと失敗するように仕向けたりする人はいなくならない
  • 「支配」と「被支配」の関係の周辺では、その支配力を必要以上に拡張してしまう危険性がある
  • 「集団・組織の維持=異分子の排除」という安易に考える人が多すぎる
  • 「いじめ=悪」という単純な構図で、いじめっ子や傍観者を罰しても、「いじめっ子」が「いじめられっ子」に変わるだけで「いじめ」構造は破壊されない。
  • 「いじめられっ子」でさえ自覚が無い場合*2は、顕在化しにくい


だから俺は、「いじめられっ子」の救済に重点を置くべきだと思う。


以下は一例。

まず、その集団にいじめがあろうとなかろうと、以下の内容を一般常識として全員に繰り返し伝えておく(予防措置)。

  1. 家庭や学校で「いじめられる側には非はない」こと
  2. 「いじめられたらどうするか」という視点での対処方法(WikiPedia いじめ:いじめへ対処法(例)参照)
  3. 相談窓口を複数提示する(馬鹿親、馬鹿担任、馬鹿スクールカウンセラーに当たっても大丈夫なように、児童相談所や市役所、弁護士、親戚、友達の親、新聞社、いのちの電話アムネスティ2chなどあらゆる選択肢を提示しておく)
  4. 自分が見聞きしている部分は、世界のほんの一部に過ぎないということ


子ども自身が「自力救済」出来ないほど消耗しているときは、いくら上記の知識を与えてあってもなかなか対応できないだろうから、教師や保護者を対象に上記の内容と「いじめられているサイン」の見つけ方の講習会も実施したほうがいいかな。

長く書きすぎて疲れた

「いじめられっ子」の救済(って言うか優遇?)なんてことを書くと、「行き過ぎたリベラル」とか「組織に悪影響がある」とか「まともな人間が育たない」とか言い出す奴がたくさんいるような気がする。

でも、そういう奴は、自らの主観の中の「行き過ぎたリベラル」や「組織に悪影響がある」人、「まともじゃない人間」が、指導(本当はいじめ)で改心しない場合は自殺してほしいと思っていたりするんだから、いちいち相手にしていたらこっちの身が持たない。


いじめられて自殺したり心に深い傷を負ってしまうような人に対しては、ちょっと過保護?ってくらいに言って聞かせてちょうどいいと思うんだけどどんなもんだろう。

*1:いじめっ子連中の自作自演でもいいし、単純にいじめられっ子が複数いればいいだけ

*2:本当に追い詰められ、自分が悪いから罰せられていると思い込んでしまっているときなど