核武装の議論は大いにすべき?
「水に意思があるかどうか」「人類は月面に到達したかどうか」「地球は平らかどうか」「ゲーム脳」など、議論すること自身は別に禁止されていないが、まともに議論することそのものが非常に痛々しいテーマというものがある。
NPTなどの国際的な枠組みの面からも、日本のこれまでの取り組みの面からも、開発・実験・配備の困難さからも、武装の戦略的戦術的な効果の面でも、「日本の核武装」の議論は相当「痛々しいテーマ」だと思う*1。
そんなテーマに対して、「日本の「核アレルギー」の強さをあらためて示したといえる」とか「安全保障で核をめぐる議論を否定すれば、議論そのものがなりたたない。誰も中川氏を援護しないのはおかしい」と言っちゃうのは、もう無邪気を通り越して哀れでしかない。
核武装を検討する暇や人材が余っているなら、核攻撃を受けたときの対処方法の検討にもっとまわした方がいいに決まっている。
例えば国会会期中に議事堂を攻撃されたらとか、大手町周辺で核爆発が発生したとき、国内のネットワークは機能するかとか。
シャブ中が刃物を持ってこっちに向いているときに、自分も刃物を用意しなくちゃとか考えているようなもんだぞ=>核武装論。「爆発は男のロマンだ」とか浮かれる前にもうちょっとちゃんと考えようぜ
追記
トンデモついでに、麻生外務大臣が「ニュークリアジャマー」とか「コスモクリーナー」とかの研究をぶち上げたりしないかな。
追記2
同じような見解があった。
これを読んで気が付いたんだが、俺自身の立場をはっきり言っていなかった。俺は、核武装には反対する。また、核武装について議論することについても否定的である。が「核アレルギー」と一緒にされるのは大変心外。
今日のエントリや「日本がいまさら核武装するのは無理 - 練習帳」に書いたとおり、日本が核武装することは全く荒唐無稽であり、百害あって一利なしだと思っている。
もういちど要点を強調しておこう。
- アメリカは絶対核兵器を売ってくれません
- 万が一アメリカが核兵器を売ってくれても、起爆ボタンは絶対に売ってくれません
- 日本でいまさら核兵器を開発するのは絶対無理です
- 植民地も持たず、広大な国土も無い日本はどれだけ核兵器を保有しても抑止力にはなりません
- 5発も食らえば、たとえ反撃できたとしても、国としてはおしまいです(逃げ場が無い)
- 国土が狭いので重要施設がむき出しかつ集中しているので、楽に攻撃できます
- 周囲が海なので、攻撃側としては周辺国に気兼ねなく撃ち込めます
これだけ不利な条件の中で「核武装」を議論するなんて時間の無駄以外の何者でもなし。さらに、この条件下で開発を強行するのは「北朝鮮」だけだと思いたい。
*1:60年前ならまだましだったかも